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『もう嫌だ―』 何度、そう思っただろうか。 何度、この呪いを怨んだだろうか。 知っているのは《奈落》なる妖怪を倒せば、この呪いは解かれる。ということだけ・・・ 『死にたくない』 その想いを抱き旅に出た。 ――――そして出会った。 仲間に。 愛しく想える、おなごに。 『死にたくない』 今でもそう思う。悪夢だって見る。 けれど、なぜ『死にたくない』か、分かる気がする。 昔はただただ、恐怖でいっぱいだった。 でも今は―――― 『みんなと一緒にいたい』そして 『珊瑚を1人にさせたくない―――――』
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冥王記
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正義と悪 僕は今、お茶の葉を急須の中へと少しずつ、少しずつ慎重に入れる作業をしている。 「なぁ・・・一つ言っていいか?」 僕の目の前には机に足を組み、口に煙草を咥えて眠そうに天井を見上げる女性は、それはそれはでかい態度で座っていた。 「私はな・・・十六夜、眠いって言ってんだぜ?それなのに、なんで茶を淹れてんだ?」 「・・・・凛は知らないの?お茶にだってカフェインとかが入ってるんだよ?」 ちょうど沸いたポットに手を伸ばし、飛び散らないように静かに急須へ注ぐ。 「十六夜・・・お前バカか?入ってる、入ってないの話をしてるんじゃねぇ・・・コーヒーを持ってこいって言ってんだよ!」 (・・・じゃぁ、自分で注(つ)いでくればいいのに。) そう心の内でぼやき、代わりの言葉を凛に伝える。 「でもコーヒーに砂糖5杯とミルクをたっぷり・・・でしょ?」 「なんか文句でもあんのか?」 「いや、文句じゃないけど・・・そんなに入れたら、もうコーヒーって言わないよ?」 急須に少しの量のお湯を入れ、お茶の葉とお湯をなじませるように混ぜ、お湯を流し場へ流す・・・こうすると葉が開き、一杯目からお茶の葉のおいしさを引き出すことができるのだ。 愛用のコップに淹れてあげると、凛はお茶を一瞬で口に流し込んだ。 「ばっ、あ、あちゃ!あちゃちゃちゃ」 「・・・凛、日本語でしゃべってくれないと僕分からないんだけど?」 「てめぇのお茶が熱かったんだよ!死にてぇのかこのバカ!」 興奮してか、それともそんなに熱かったのか、顔を真っ赤にして愛銃を二丁僕に向ける。 「あのね、お茶はゆっくり飲んで味わうものだよ?この寒い季節に体の芯まで温めてくれる。そして眠さも吹き飛ばしてくれて、仕事を捗(はかど)らしてくれる・・・・一石二鳥なんだよ?」 僕もお茶を淹れて、少し口をつけて一呼吸おく。 「まぁ、そんなことはさておき・・・」 僕はポケットから一つの封筒を取り出す。 「今日が何の日か覚えてる?」 そう言うと、銃を下ろして明らかに嫌そうな顔を彼女はした。 「ちっ、あいつのことは忘れたくても忘れられねぇよ」 「うん・・・そうかもね」 あいつというのは市長選第一候補と言われ、また総理大臣にまで上りつめるであろうと謳われている男で、そのかたわら麻薬・武器の輸出を手掛ける闇商人の中心人物である男・・・ルミナ・クライウス・ヴァン氏 三年前に都内警察麻薬捜査支部連合責任者の僕こと十六夜と同じく支部の指揮長官を務める彼女こと凛が捕えた。 しかし、その逮捕は通常とは少し違うものだった。 というのは、ヴァン氏が裏との関わり合いがあるという決定的な証拠を見つけていないという点・・・つまり証拠なしに逮捕に踏み切ったということである。 僕の権限により三年間留置所へと留めて、そして決定的な証拠を見つけて罪状を提出してちゃんと裁判を受けてもらう・・・そういう手筈だったのだが、まったく証拠らしい証拠は出てこなかった。 潜入捜査や聞き込み調査、彼の部下の証言により黒幕なのは明らかというのにも関わらず、どうしても証拠らしい証拠は全く出てこない。 この三年間、もどかしさだけが僕の心にあった。 そしてこの件により、僕はこれで上からの信用はがた落ち、彼女もタダでは済まないだろう。 彼女が彼を良く思わないのは当然であるかもしれない。 そんなヴァン氏からの手紙が一通・・・留置所からの解放を祝したパーティーを僕たちに招待するという内容。 「どうする?罠の可能性が高いけど・・・」 「はっ、おもしれえじゃねぇか!あのやろう・・・粋なことしやがるじゃねぇか」 ・・・・即答できる彼女はある意味天才だろうか?数時間ずっと考えた僕がバカらしく思う。 「分かったよ。じゃぁ、今夜の七時みたいだから・・・ちゃんとおめかしも忘れないでよ?」 「はぁ?別にいいだろ、面倒じゃねぇか」 「まぁ、そうは言わずに・・・ね?一応、礼儀として」 「ったく、分かったよ。着てくりゃぁいいんだろ?じゃぁな」 彼女はそう言って、出て行ってしまった。 (あれ?まだ、勤務中なんだけど・・・) 置いてかれた僕は仕方なく、山のように溜まった書類を嫌々ながらも目を通していくことにした。 それから数時間、夜七時の三十分前・・・僕らはレストランの前で合流した。僕はシンプルに上下真っ黒のタキシード、凛は真っ赤に彩られたドレスというところだろうか?腰まである髪もちゃんと束ね、まるで別人のようだ。 「遅い!てめぇ、女をいつまで待たせるつもりだよ!」 (外見はともかく、中身は全く変わってないようだ。しかしどうなのだろう?いつも女らしいことの一つもしていないのに、こういう時だけ女を主張するのは・・・) そんなことを思いながら、凛に急かされるままにエレベーターに乗った。 止まったのは三十階・・・中はレストランである。 しかし、上にはシャンデリアがズラリと並び、床一面は大理石で作られ、至る所の壁に著名の絵画などの美術品が飾ってあった。 (・・・・凄い!) その言葉に尽きるほどの豪華さであった。 「すみません、ヴァン氏の招待でやってきたのですが?」 一人の店員を捕まえて聞くと、奥の見晴らしの良いテーブルを案内してくれた。 そこには三十階からの夜景という名の幻想が広がっていた。 きらびやかに、しかし派手すぎることもなく鮮やかに光り輝くように彩られた街の光景は何とも言えない。 僕がしばらくの間、感傷に浸っている隣で夜景には目もくれずにメニューの中からあれやこれやと注文している凛がいる。 「なぁ?なぁ?なぁ?見てみろよ!キャビアが置いてあるぜ?食べてみないか?なぁ、こんなに高けぇんだぜ?超うまいんだろうなぁ~」 彼女の眼が光り輝いている・・・何をそんなに期待しているのであろうか?仕方なく僕は彼女に教えてあげる。 「キャビアはとっても高いけど、そこまで美味しいものじゃないよ?」 「んなわけあるかよ!ったく、面白くないやつだぜ・・・なら私だけでも頼むぜ?おい、キャビアを持ってきてくれ!」 彼女の前にはどんどん料理が並べられていく。 しかし・・・“花より団子”とはよく言ったものではないだろうかと思う。 作った先人がもし凛を見たら嬉し涙でも流すのではないだろうか?そんなことを考えていると、凛が機嫌良くキャビアを口に運んでいる姿が目に入った。 口にした途端、彼女の顔は機嫌良いから普通へと変わり、もう一口入れると普通の顔から怒っている顔へと変わった。 そして一人の店員を呼びつけて・・・ 「このキャビア、ニセモノじゃないのか?」とか、「この値段はおかしい!店長を呼べ~」とか言って店員に迷惑で困らせていた。 そんなやりとりをしていた頃・・・やっと現れた。 「これはこれはお二方、とっても楽しそうで開いたこちら側としては嬉しい限りなのだが、もう少し節操をわきまえて欲しいものなのだがね?」 ヴァン氏がそう言うのも無理はないかもしれない。 テーブルに料理が所狭しと場所を取り合い、凛は店員に大声で説教、僕はさっき目を通した書類をパソコンへとまとめる作業をしている・・・迷惑かどうかは甚だ疑問だが、高級レストランですることではないことは確かだろう。 凛に促して店員はいいからテーブルの上を片付けようとした時、彼女から殺気を感じた。 「ふっふっふ、私も嫌われたものだな」 「はっ、お前は私に好かれたいのか?」 「それは御免こうむりたいのだが?キミの愛は重そうだ」 「言ってくれるじゃねぇか?・・・で、ブタ箱の生活は楽しかったか?」 「ふっ、是非ともキミたちにもご招待したいくらいだったよ」 高級レストランの一角で、殺伐とした雰囲気が漂う中、僕は口を挟んだ。 「ちょ、ちょっと、凛?そんな言い合いをしに来たんじゃないよ!え~っと、ヴァン氏にご質問があるのですが?」 これ以上話がこじれないように率直に聞く態勢へ・・・ 「ふむ、構わないが?」 「裏との関係を止めて頂きたいのですが?」 この質問は“はい”でも“いいえ”でも答えたのであれば、彼を無力化出来る。 なぜなら、“いいえ”であればその意味の如く、彼自身が裏との接点を失くすだろう・・・。 “はい”の場合では僕の身につける盗聴器が彼と裏の決定的な証拠となり、捕えることができる・・・しばらくの間静寂が訪れ、彼の口が開くのが少し鈍った。 そしてニヤッと笑みを浮かべ、虚をついてきた。 「答えるのは構わないが、その前に隠れているブツには退出願おうか?」 彼に盗聴器は見抜かれていた・・・。仕方なく盗聴器の電源を切り、彼の質問に入ろうとした時、また制止がかかる 「刑事さん?もう一つ・・・彼女の襟の裏なのだが?」 僕のだけではなく、凛の盗聴器まで彼は見抜いた。 どこまでも頭の切れる奴だった・・・小細工なしで質問に入った。そして小一時間ほど経っただろうか?話しも滞りなく進み、パーティーはお開きとなった。 それから二週間ほど経ったある日・・・僕と凛は上から呼び出しを受けた・・・理由は僕も凛も知っていた。 ヴァン氏が市長選で市長に選ばれた・・・その点は別になんでもないのだが、市長選の演説で行ったことがまずかった。 ヴァン氏があのレストランで会った時に隠し持っていたとされるだろう盗聴器で、僕らの声を一つ一つ合成して、あのレストランで僕らが脅迫をしている会話を作っていた。 まさか、逆に彼が盗聴器を持っているなんて夢にも思わなかった・・・ 僕らは市民の反感を買った。 そして彼の演説の最後・・・ 「私に罪がないにも関わらず留置所に三年間監禁されました。 そして脅迫を幾度となく、そしてレストランへと連れ込みあの発言を私に・・・。 私は警察などに頼ってはいけないのだ、警察こそ悪である・・・と、私は確信しました。 私は警察と戦います!どうか、どうか、賛同して頂ける方は私に清き一票をお願いします!」 今までの行動が一気に枷として舞い戻ってきた瞬間であった・・・。警察トップクラスの発言ということも仇になってか、マスコミは新聞・テレビなどで大いに取り上げ、この演説により、市民は暴動騒ぎが各地で勃発、警察の信用は地の底まで落ちていった。 「十六夜殿、並びに凛殿・・・貴方がたには謹慎処分を言い渡す。その後、追って判断を下す」 それが、僕らに言い渡された 謹慎処分を受けてから数日が経った・・・。僕は知り合いに頼み、ヴァン氏についての情報を貰っていた。 それは明日の昼に家族で昼食・・・を装っての裏での重要な会議が行われるという情報だ。 この現場をうまく押さえることができたら、汚名返上とまではいかないが、今の状況を改善できる唯一の手段であると僕は思った。 さっそく、暗い夜中を見計らって家を抜け出し、凛の家のもとまで急ぎ向かった。 深夜一時を回ったくらいだろうか?チャイムを何度か鳴らす・・・しかし、いっこうに出てくる様子がない。 どうしたものかと立ち往生してドアノブに手をかけると鍵は開いていた。 何かの襲撃でも遭ったのではないかと思い、銃を手に物音立てずに中へと入ると・・・突然、腐臭が襲ってきた。 ゆっくり歩き、だんだん目が暗さに慣れてきたのか、辺りがどうなっているのかが見えてきた。 キッチンは見る影なく、壁には暴れて殴ったようなへこみがいくつもあり、至る箇所に銃弾の跡があり、リビングではテレビの画面は割れ、机は木のクズへと化し、ゴミ箱の中身が辺りに散らばっていた。腐臭が漂う中、寝室であるところから声が聞こえた。 それは小さく、とっても小さく、耳をすまさないと聞こえないくらいの声だった。 意を決して寝室のふすまを開けると、電気もついていない状況で布団にくるまっている凛であろう姿があった。 呻き声や泣き声や嗚咽などが入り混じった声だった・・・。 人の気配に気付いたのだろうか?さすがは指揮を任されるだけあって、敏感さは獣並みだ。 彼女はばっと起き上がり、隠し持っていた銃を僕に向けた。 「誰だ!撃ち殺すぞてめぇ」 「僕だよ?凛・・・」 凛はそれでも銃は下ろさなかった。 「今は誰ともしゃべりたくねぇんだよ!死にたくなかったら消え失せろ」 彼女はベットに座ったまま、僕を銃で威嚇してくる・・・つまり位置的に僕が彼女を見下すような形である 「・・・・」 「おい、聞こえてんのか!」 「ちゃんと聞こえてるよ」 「だったら早く目の前から失せろ!」 彼女は声を張り上げるのだが、いつものような覇気・・・というか、寄せ付けないオーラみたいなのは全く感じられなかった。 逆に脆く儚く今にも崩れおちてしまうような気がした。 そして僕は聞いた・・・ 「凛・・・泣いてたの?」 図星だったのか、少し間が空いたが、すぐに立て直して返答する。 「何言ってんだ?てめぇ」 「・・・無理しなくていいんだよ?」 「はぁ?私が泣く?なぜ?なんのために?バカだろお前?わけわかんねーよ!」 口調こそ彼女であったが、聞いていて痛ましかった。 僕は彼女の方へと足を一歩進めた 「おい、帰れっつってんだろ!」 しかし僕は構わず歩を進める 「十六夜、殺されたいのか!」 彼女の肩は震え、銃の標準が僕には合わなくなってきた。 そして僕は彼女の前まで歩を進めた 「なぁ、なぁ、頼む・・今は、今だけは私に近づかないでくれ・・・」 いつものカッコいい凛はもうそこにはいなかった。 ただうっすらと涙を溜め、消え入りそうな声で懇願する女性がいた。 「・・・・」 僕は座っている彼女の頭を胸にうずくめるように抱いた。 「おい、馬鹿・・・。何やってん・・・だよ。私は大丈夫だから、こんなことは・・・、なぁお願いだ・・・」 僕は初めて彼女の涙声を聞いた気がする 「大丈夫だから・・・ね?」 何が大丈夫なのかは僕自身はよく分からなかった。 けど、凛を救いたいとただただひたすらに願った。 彼女も耐えられなくなったのか、嗚咽しながらも胸元で叫んでいた。 「ちく・・・しょう!ちくしょう!あの野郎!あの・・・野郎が!」 何度も何度も繰り返されるその単語に僕は何か言うでもなく、ただ僕の抱く腕が少し強くなった。 そして抱いたことのなかった憎悪が少しずつ少しずつ、しかし確実に心に滲み入るのを僕は感じていた。 どれくらいの時間が経ったのだろうか?凛はだんだん落ち着きを取り戻した 「悪かったな、十六夜。少し迷惑をかけた」 「どうしたの?らしくないよ。まだ、僕に抱かれ足りないの?」 「ちっ、人の厚意くらい黙って受け取りやがれよ」 「凛の厚意なんか貰ってもこそばゆいだけだよ」 「おいおい、言うじゃねえか?そんな撃ち殺されたいのか?」 二人は顔を見合わせ、笑いあった 「そう言えば、十六夜。何か用事があって来たんじゃねぇのか?」 凛のことで頭が真っ白になって本題を忘れるところだった。 それはヴァン氏の計画を凛と協力して真実を暴く・・・ヴァン氏も市長となり、それなりのボディーガードもいることだろう。 ゆえに凛の銃の腕が必要不可欠だった。 しかし、完璧に事が済んだとしても一瞬で裏の大物たちを敵に回すかもしれない。または無事では済まないかもしれない・・。 それに頭のキレるヴァン氏さえも抑えられるかどうか・・・。 僕は彼女の顔を見てニコッとして、返事を返した。 「用事はただ謹慎受けてしょげてる凛をひやかしに来ただけだよ?思ってた以上にしょぼくれてたけどね~」 「ちっ、うっせんだよ!いいから早く帰れよ!殺されたいのか?」 凛が銃を向けて威嚇してきた・・・これはマジらしい。 僕は凛から逃げるようにふすまを開け、一言つぶやいた。 「凛、またキミとこうしてばかなやり取りができるのかな?」 闇夜の月は爛々と輝き、嘲笑しているように見えたのは僕だけであろうか・・・ 僕は今、木の影から一つのレストランを監視している。 敵影の視察だけでもと思って正面に来たけど、人が全くいないため、ここから身動きができなくなってしまった。 (交通規制、今日はなかったはずなんだけど・・・) そんなこんなでしばらく立ち往生していると、後ろから肩を叩かれた。 どうやら黒服の一人にバレたようだ。 (ふぅ~、映画のワンシーンみたいにカッコよくはいかないものだね・・) 心の中で少し自嘲し、僕は黒服の言うとおりバンザイをして、ボディーチェックを受けた。 そして腕の辺りを調べられそうになった時、袖の裏に仕込んでいた銃が手の中に滑り込み、男の頭に銃弾を撃ち込んだ。 パーン、パーン・・・銃声は辺り全域に響き渡り、僕はあっさり気付かれた。 「おい、そこに隠れている奴出てこい!」 敵は三人・・・慌てて隠れた木に向かって彼らは発砲し始めた (ふふ、僕はそんなに甘くないよ?) 木の上に登っていた僕は慎重に木に近づいてくる彼らを上から狙い撃ち、絶命させた (大丈夫・・・僕だけでも大丈夫だよ!) 木を下り、正面から中を窺おうと顔を出した時、四・五人のボディーガードが撃ってきた。 すぐに頭を引っ込めたが少し冷静さを失っている自分に気付いた (うわっと!あ、危なかった。正面から入ろうなんて僕は馬鹿か?) すぐその場から逃げるようにして裏の出口へと回った。 そこには案の定、黒い高級車が二つ並んでいた。 裏のドアが開き、現れたのは母子であった。 (彼らには全く関係ないことだよね。そんなことしたら人として・・・) 後ろからさっきの黒服四~五人が追いかけてきた。 (前も後ろも・・・・ちょっとヤバいかも) その時、ヴァン氏が裏のドアからボディーガードに囲まれるようにして出てきた。 そしてその瞬間、凛のあの顔が脳裏をよぎった その時にはもう僕は僕ではなくなったのかもしれない・・・母子に当たるかもしれないにもかかわらず、二丁の銃を手に無作為に撃ちまくった。 さすがの彼も僕が母子を巻き込むとまでは考えていなかったのだろうか?急に慌て、母子が車に乗った後、一つの車を発進させた。 取り巻きを四人ほど殺り、ヴァン氏の周りは手薄となったが、僕も無傷というわけではない。 左腕を撃ち抜かれ、片方は動かない。 彼が車の方へと近づいた時、僕は逃げられると思い、タイヤを二カ所撃ち抜いた。 すると車を諦め、そこからはヴァン氏は逃走した。 逃げて逃げて逃げまくる彼を追いかけ走ったのち、彼の右足を撃ち抜いて逃走劇の終わりを告げた。 「はぁ、はぁ、これで・・・終わりだ、ヴァン!」 僕は銃口を彼に向ける。 「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ~。まぁまぁ、落ち着きたまえよ?・・・十六夜くん。今日のキミは少しおかしくはないかね?冷静さが欠けているのように見えるのだが?」 物陰から完全武装した警察がぞろぞろと現れ、僕を囲む・・・ざっと見るに二十人くらいはいるだろう (警察・・・しかも特殊部隊。どうして!?ここに駆けつけるまでには距離的には三十分はかかるのに・・・) やっと頭が完全に冷えてきた僕は、全てヴァン氏の罠であることにやっと気付いた。 (知り合いの情報から全部・・・かな?やられたなぁ~) 「完全にキサマは包囲されている。諦めて投降しろ!」 僕に言っているらしい・・・僕が正義で彼が悪だといのに。 皮肉なことだ・・・国民を守る為に警官たる行動をすればするほど、僕が敵視されるだなんて・・・。 ため息を大きく吐いてから、僕は彼に向けている銃を更に強く握った。 「もし引き金を引こうとするならばこちらは容赦しない!」 特殊部隊が一斉に僕に銃の狙いをつけた。 目の前に足から血を流しているにも関わらず、僕に余裕の笑みを向けるヴァン氏・・・殺意が沸々とまた僕の中で込み上げてくる。 幼なじみが現れ、涙を流しながら僕に説得の言葉を話している・・・、しかし僕にはもう聞こえない・・・何も聞こえなかった。 ヴァン氏が目の前に居て、ただシーンとしている世界。 自分の心臓の音がやけにでかく聞こえた・・・まるでまだ生きたいと僕に訴えかけているかのように。 そして僕は心臓に伝えてあげた・・・ 「わがままは・・・許さないよ?」 引き金を引くと同時にいくつもの銃声が大きく響き渡った それから三年の月日が経った。 「いやはや、凄いやつれようだが大丈夫かね?凛くん」 目の前の市長、いやヴァン総理大臣が私に声をかけてきた。 「そう睨まないで欲しい。まぁ、十六夜くんのことはとても残念だった。彼がまさかあんなことをするとは思わなかったよ」 残念そうな顔を見せるヴァン氏だったが、一転して微笑を浮かべた。 「・・・それで、仲間として疑われ、三年の務所生活はどうだったかね?キミにはお似合いの場所だったと思うが?」 「うるせぇ・・・そんなくだらない戯言を聞きに来たんじゃねぇ!」 「ほぉ~、では何の為かね?」 凛は気味が悪いくらいに笑った。 「出所祝いのパーティーに決まってるだろ!ちょっとばかし私なりにアレンジをしているけどな?」 そう言って、抜いた一丁の銃をちらつかせた。 「ふむ、では場所はどこにするのかね?あまり遠くは・・・」 「はっ!場所なんてどこでもいいだろ・・・始めようぜ?血のパーティーをな!」 「ふぅ~凛くん、・・・若いな。まぁ、私もキミに生きていられると合成音声の件で少々面倒でね?」 ヴァン氏が指を鳴らすと建物の屋上から十数人・・・ライフルを持った特殊部隊が現れた 「けっ、最初から殺すつもりでした・・・ってやつか?」 「凛くん、キミは私の手のひらで踊っているに過ぎない・・・十六夜くん、彼もまたその一人なのだがね」 そう聞いた途端、突然凛の高笑いが響き渡った。 不審に思ったヴァン氏は辺りを見渡し、彼もまた笑った。 「くっくっく、やってくれたじゃないか?凛くん。まさか彼らが全員すり替わっているとはね・・・」 「結構冷静じゃねぇか・・・もうお前の逃げ場はないんだぜ?」 「引っかかることが一つね。キミが部下一人でも動かしたのなら、私に情報がくるはずなのだが・・・?」 「それは上層部のやつらから来る情報のことだろ?」 「・・・ふむ、知っていたのかね?私が警察と組んでいたことを・・。しかしだからと言ってそれを阻むことは・・・」 「なぁ~、死人に口なし・・・って言葉知らないのか?」 悪魔の笑みだった。 「・・・・しかし、一人殺したとしても計画に狂いは・・・」 「何度も言わせんなよ、ヴァンさんよ~?殺したんだよ・・・上層部のやつら、そして・・・お前に縁のあるやつ全員・・・な」 その瞬間、ヴァン氏の顔が明らかに蒼白になった。 「誰がお前と繋がってるか分かんなくてね~。十六夜のやつなら思考に思考を重ねて顔を割り出すんだが・・私はそういうのは苦手でね~」 ヴァン氏はポケットから携帯を取り出し、どこかに電話をかけているようだ。 「おいおい、誰も電話は取れないぜ?なにせお前の家の中には血だらけの死体しか・・」 「な、なぁ・・・む、息子とか・・・いなかった・・かね?」 「あぁ~、なんかお前に似たガキが一人いたな・・・頭ぶち抜いたら動かなくなっちまったけどな」 「きさまぁぁぁぁ!」 彼は銃を抜き、凛に向けようとしたが・・・刹那に凛が放った銃弾が彼の銃を手から弾き飛ばした。 「状況をわきまえろよ?私にサシで勝てるとでも思ったのか?」 凛の銃弾がヴァンの左足を貫いた。 「圧倒的な力は知に勝る・・・新たな名言だな、そう思わねぇか?」 次々に四肢を撃ち抜き、その度に嗚咽と悲鳴が重なりあう。 「う~ん、このまま殺すのはもったいないなぁ~。ちょっと、ゲームでもしてみねぇか?」 そういって、一つの注射器を凛は取りだした。 「くっ、はぁはぁ、その注射器は我が製品の・・・」 「さすがに分かったな。まぁ、何本耐えれるかのゲームしようぜ?」 ヴァン氏の顔がさらに歪んだ。 「その顔だ・・・その顔を見たかったぜ?あいつにも見せてやりたかったよ」 一本、動けないヴァン氏に注射した。 「ん・・・拒絶反応か?おいおい、始まったばかりだ・・・楽しく逝こうぜ?」 持ってきた注射器を全部打った・・・暴れまわる姿やアワを吹き出すとこ、それに体が痙攣するところなどは普段のヴァン氏からは想像できないことで、滑稽で可哀そうで馬鹿らしくて、凛はずっと笑っていた。 「はぁはぁ、あんまり笑わせるなよ。笑い死にさせる気か?まったく・・・。ふぅ~、楽しかったぜ。まぁ、私を敵にしたことをせいぜい悔むんだな・・・って、聞こえちゃいねぇか」 よだれを出して、目が剥きだしているヴァン氏に銃口を向けて、銃声が静かに鳴り響いた 「終わった・・・終わったよ、十六夜。あの合成音声を専門家とかに調査させれば、汚名もキレイさっぱり無くなるんだぜ?今まで通りまたあの事務所でお前の好きなお茶とか飲めるんだぜ?」 凛は一呼吸置いた。 「どうして・・・だろうな。この日をずっと待ってたはずなのにな・・・。嬉しくない、楽しくない、何も感じない、ただ何かがひっかかってスーッとした気持ちになれないんだ・・・なぁ、どうして私の横にお前がいないんだ?」 言葉が止めどなく溢れてきた・・・もう凛自身何を言っているのか分からないくらいに口が勝手に動くのだ。 「・・・なぁ、お前はあの話信じるか?同じ死に方をすると同じとこへ逝けるって話・・・って、おい、何言ってんだろうな。ふぅ~この頃、私は何かおかしい気がするぜ。これじゃぁ、まるで私がお前の事を・・・」 気付くと私は笑っていた・・・そして泣いていた。 私は銃を頭に突き付け、ただただひたすらに願った・ (十六夜、お前にまた会いたいよ・・・なぁ、死ねば会えるかなぁ?) 凛は静かに銃の引き金を引いた・・・。
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ある日、ニャンコは野原を歩いていた・・・ ???「びぃーーーーー」 ニャンコ「ん?」 ???「びぃーーー!!!」 ニャンコ「蜂だー!!逃げろー」 ハニーはニャンコを針で刺した。 ニャンコ「やられた・・・ あれっ思ったより痛くない」 ハニー「びぃー」 ニャンコ「もう油断はしないぞ! 噛み!」 ハニー「びぃびぃびぃー!」 ハニーは激しく泣きながら去って行った・・・ ニャンコ「やっぱり様子が変だな・・・ おっあれは?」 ???「ごぶ。」 ニャンコ「ゴブリンみたいだな・・・でも板の絵だし・・・今しゃべってたっけ?」 ???「ごぶー」 ニャンコ「まさか・・・ゴブリン板・・・?」 ゴブリン板「ゴブっ!!!」 ゴブリン板は倒れてきた!!! どうするか・・・ニャンコ?!
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イエローの学園天国
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大見出し
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under construction... そのうち何か書きますよ。
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第一話 始まるのは他が為に お試し掲載第一弾!! 人間と魔族の戦争、それはかつての戦い 人間は魔族に敗れ、誰も知らない世界への芽を息吹く 聖騎士よりも暗黒騎士、戦乙女が戦少女へと変わり 誰も見たことのない物語が始まる!
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NorthWar NorthWar2 THE DOG FIGHT Mercenary Soldier ZENO MUSUKA Assault Record A view of the world(世界観)